Clean your leather goods at HOME.

ウィルス感染拡大による自粛生活の中、家での過ごし方もマンネリしてきた頃ではないでしょうか?
全ての皆さまに少しでも早く日常が戻ってくる事、そして今現在の健康を心から祈りつつ、ご自宅での過ごし方の一つとして、「革製品のお手入れ」について書いてみようと思います。

一人の革職人として何ができるのか、何が正解かはわかりませんし、こんな情報でウィルスに勝てない事は百も承知ですが、ネガティブな情報だけでは心が病んでしまいます。笑って外出できる日のために、お気に入りの靴やバッグなど、綺麗にメンテナンスしておきましょう!

Vol.1
革製品のお手入れについて、よく質問されるのが「何を使えば良いか」です。
目的や用途によってお勧めするケア用品は変わってくるのですが、どんな目的にしろ「何を使うか」の前に全てに共通して大切なポイントがあります。

それは「まず汚れを落とす」という事。当たり前のようですが、意外とこれが出来ていないというか、お手入れの落とし穴的なポイントなんです。しっかりと汚れを落とさずにクリームやワックスを塗ると、汚れを塗り固めて、落ちにくくしてしまうんです。

女性の方ならわかると思いますが、メイクを落とさずに化粧水や乳液はつけないですよね?

革製品も同じです。ぱっと見では、汚れていないように見えても意外と汚れているもんです。
靴ならば、泥がついたり埃がついたりが分かりやすく目につくと思いますが、お財布などの小物は、そういう汚れがつく事は少ないので、汚れていないと勘違いしやすいのですが、目に見えない汚れがついています。
その正体はズバリ「皮脂汚れ」。もっと分かりやすく言うと「手アカ」です。

お財布などは普段、手で持って使うので手の油分が擦り込まれ、ある意味では天然の油分補給になっているので、「使うことが最大のお手入れですよ」と話したりするのですが、そのままで良いかと言うと話は別です。気づかないうちに、革の表面に手アカなどが少しづつ蓄積されて、ベタつきの原因になったりするので、定期的なお手入れが必要になります。

ただ、厄介なのが手アカが表面に蓄積すると、艶が出たように見えるんですね。ガシガシ使い込んで、良い味になって来たと勘違いさせてしまうんです。でもそれは革そのものに艶が出た訳ではなく、皮脂が塗り固められて出た艶。これをしっかりと落としながら、適度な油分で潤った状態を保つ。これがお手入れの最大のコツです。

では、その汚れをどうやって落とすのか。

市販の皮革用汚れ落としクリーム等を使うのもありなのですが、どうしても成分が強いので、革の染色方法や素材によっては、
革の色まで落としてしまったり、変色してしまう可能性もあるので要注意。中性洗剤を薄めたものや、消しゴムを使って汚れを落とす方法もあるのですが、こちらも同様の注意が必要です。こういったものを使う場合は、必ず目立たない部分で試してから。

そんな心配が必要ない一番手軽な方法が「水拭き」です。かなりシンプルですが、これで結構落ちるんです。
革を水で濡らしても良いの?と思われる方もいると思いますが、びっしょり濡らす訳ではないので問題ないです。

そもそも、革は水に濡れることがNGというよりは、濡れ方やその後のケアが問題がであって、水分そのものがNGというのとは、少しニュアンスが違うんです。水に濡れてしまった時の処置については、また別で書きたいと思います。

さて、ようやく具体的な手順を。

お財布のお手入れを前提に説明していきますが、靴やバッグなど、他の革製品でも大きな差はありません。
お財布の中は事前に空にして、型崩れを防ぐために、中に新聞紙やキッチンペーパーなどで詰め物をしておきます。

まずは、キレイな柔らかい布(キッチンタオルや雑巾などでOK)を用意し、水で濡らして、しっかりと固く絞ります。
革の表面を端の方からしっかりと拭いていきます。あまりゴシゴシと強く擦らないように注意。
少し拭いて布を見たら、きっと真っ黒だと思います。もし、革の色が移っていたとしても、水拭きで移る程度の色落ちは問題ありませんので、ご心配なく。

特にマチの隙間や、縫い目の周り、パーツが重なっている段差の部分などは、布の角などを使って、丁寧に拭き上げて行きます。拭き終わると、革の表面がマットになり、少し湿っているので黒ずんで見えるかも知れませんが、乾くと元に戻るので大丈夫。

ちなみに、この「水拭き」は表面についてしまった爪などによる、細かい引っかき傷を軽減する効果もあります。
乾燥した肌を爪で引っかくと、白っぽくあとが残りますよね?そんな時はクリームなどを塗って保湿すると思いますが、革も同じなので、潤いを戻すことで軽減されるんです。

さて、次はその水分をしっかりと乾燥させます。

乾燥は、風通しの良い場所で陰干し。これ鉄則です。ドライヤー等での強制乾燥、天日干しなどは、過度の乾燥が進み、ひび割れの原因になります。一度ひび割れしたら、元に戻すことは出来ませんので要注意。湿度にもよりますが、30分程で乾き黒ずみも無くなると思います。水分が乾燥する時に、革の油分も一緒に奪ってしまうため、少しカサついた感じになっているかも知れません。

汚れを落としたら、次は油分の補給。

Vol.2
油分補給には、オイル・ワックス・クリームと様々な種類のケア用品があります。それぞれに特徴があって、目的別に使い分けるのが理想的。

オイルは油分の浸透性が高く保湿に向いていますが、艶出しの効果は少ないです。ワックスは逆に、艶出し効果が高く防水性などに優れますが、保湿力は弱め。クリームはその中間の良いとこどり。という感じです。なので、初心者にオススメなのはクリームか乳液タイプ。かつ無添加・無着色のものをお勧めします。

僕がお勧めしているのはドイツ生まれのTAPIR製品。天然成分のみで作られているため、手で直接塗っても大丈夫なぐらい、革にも人にも優しいケア用品で、RHYTHMOSのshopでも販売しています。
余談ですが、リュトモスのオリジナルワックスを試作中なので、完成したらまたお知らせしたいと思います。

本格的にお手入れしようと思うなら、いろんな種類のものを使い分けるのが一番です。今回は、オイルとワックスを使い分けるパターンで説明しようと思います。

オイル等の他に用意するのは、乾いた柔らかい布3枚。着古しのTシャツをハンカチ大に切ったものが使いやすいです。
オイル用とワックス用に1枚ずつ。もう1枚は乾拭き用です。

オイルはつけ過ぎると、染みになることもあります。少ないと感じるぐらいの少量を布にとり、布を揉んでなじませます。
革の一部だけに染み込まないよう、全体にうすーく伸ばしていきます。浸透性が良いので、表面にうっすらと塗るだけで十分です。一度塗ったら、少し休ませてオイルを馴染ませます。

10分ほど置いて、まだカサついた感じがあれば、もう一度オイルを塗って、また休ませます。
休ませた後に表面にオイルが少し残っていたら、十分に油分が入った証拠です。表面に残った余分なオイルを拭き取って、次はワックスで艶出し。

ワックスはミツロウなどを主成分にしたものがお勧めです。ワックスの成分が革の表面にとどまり、保護膜を作ってくれるので、汚れもつきにくくなり、ロウの成分で防水にもなります。

ワックスは固形で取りずらいので、布を指に巻きつけるようにすると、革に塗る時も作業しやすいです。オイル同様、全体に薄く伸ばしながら塗っていきます。革の表面に塗りムラが出ると思いますが、ここでは気にせずOK。広い面だけでなく、細かいパーツの隙間や縫い目などにも擦り込んでいきます。

全体に塗り終わったら、また少し休ませます。今度は短めに3分ぐらいで大丈夫です。

次に、布のワックスがついていない部分を使って、表面のワックスを拭き取っていきます。擦り込みつつ、余分なワックスを拭き取っていくイメージ。全体を拭きあげたら、最後の仕上げです。

乾拭き用の布を使い、革の表面を力を入れずに優しく乾拭きしていきます。
だんだん艶が出始めるので、全体的に艶が出るまで繰り返します。

最初の汚れ落としが出来ていないと、この膜の中に汚れを閉じ込めてしまうので、どんどん汚れは取れなくなっていきます。
きちんとメンテナンスできていれば、ワックスの保護膜によって、汚れがついても落としやすくなります。

汚れを落とすことも大事ですが、その前に汚れがつきにくくする事も、革製品を良い味わいに育てる大事なポイント。
仕上げに防水スプレーなどを使うのも効果的です。使用する場合は、革製品に直接ではなく、布にスプレーしたものを、全体に薄く伸ばしながら塗る方が均一に塗ることができます。

お手入れが終わったばかりの革製品は、油分で少し柔らかくなっています。すぐに使わずに、一晩寝かせてから使うぐらいがベストです。

お手入れの間隔は革のコンディションにもよるので、乾燥していないか、湿気を帯びていないか、こまめに手で触り、目で見てチェックしてください。

メンテナンスに関して、神経質になる必要はありませんが、ちょっとした時間が取れた時、ふと思い出した時には、きちんと汚れを落として、油分を補給する。慣れれば簡単です。

そうやって毎日使い、定期的にお手入れをしてあげれば、革という素材は100年でも使い続けられます。

もちろん、縫い目のほつれや金具の不具合なども出てきます。そんな時は、ぜひ工房にお持ちください。リュトモスの製品は全てリペアが可能です。リペアの際には、メンテナンスも合わせて行います。

まずは、自分でのメンテナンスに挑戦して見てください。わからないことがあれば、いつでも相談してください。永く使い続けてもらう。それが一番嬉しいことです。

shop info


ウィルスの感染拡大は、今だに収束の見えない状況ではありますが、私たちの住む鹿児島では、この連休が終わるのを待って営業を再開するお店もちらほら。引き続き、感染症対策には十分気を配っていくことを大前提として、リュトモスのShopも、明日から通常通りの営業に戻そうと思います。

感染予防と経済活動のバランス。
どの選択が正解なのかは分かりませんが、今は、自分たちにできることを粛々と。

5月7日(木)より
OPEN 12:00_18:00
CLOSE Tue & 3rd Mon.

We received a new shop card.Thanks for @papierlabo.tokyo

新しいshopカードが出来ました。SNS等の普及で、ショップカードというモノの必要性が薄くなっているような気もしますが、やはりリアルな質感というかそこに存在する「モノ」って大事だなと改めて実感します。そんな中、緊急事態宣言を受けリュトモスのショップは25日からお休みしてます。新しいカードを配れるのはGW明けになりそうです。お休み中も、工房ではいつもと変わらず製作してますので、リペアのご相談や商品のお受け取り、春のギフト等、ご用の方には対応しますのでご連絡くださいませ。

RHYTHMOS
099-213-9012
shop@rhythmos.co.jp
臨時休業:4月25日(土)〜5月6日(水)

Keep making.

自分の職業を作家と呼ぶのか、職人なのかデザイナーなのか、同じようにモノを作る仲間と話す中でいろんなスタンスがあって、僕も含めてそれぞれのこだわりもあると思うのだけど、結局のところ「モノを作って生きている人」である事に違いはないと思う。

僕らが生み出すモノは、革製品、陶磁器、木工品、衣類、アクセサリーなど、ほとんどの場合「暮らしを豊かにする道具」であって生活必需品ではない、いわゆる不要不急なモノばかり。
それを作って生きている僕らは、こんな状況になり正直戸惑っているのも事実。生き方を根本から考え直さなければいけないのかも、と。

それでも僕は思うんです。自分のような人間にとって「作ること」=「生きること」であって、基本的にはどんな事があっても、どんな時でも「作り続ける」事を大切にしたいし、作る事を止めてしまったら自分という存在が揺らぎかねない、そう思ってます。単にそれしか知らない、それしか出来ないという側面もあるけれど。

だから今の非常事態の最中においても、作りたくても作れない(材料が手に入らない等)状況にならない限りは、手を止めることは無い。それはきっと、鹿児島のクラフト仲間はもちろん、手を動かしてモノを生み出している人たちは、ジャンルを問わずみんな同じ思いなんじゃ無いかと思っています。少なくとも僕はそう。

ただ、これを機に自分の活動を深く見つめ直すのは必要な事だと感じています。作りかた、材料、作る量、売り方、環境への負担とか。
僕の場合、調度そんな事を考えていたタイミングだったので、事態が収束して日常が戻ってきた時に、また僕らの作るモノが必要として貰えるよう、今までとは違う進化したモノ作りが出来るよう考えながら、作り続けたいと思います。

そんな訳で工房は変わらず稼働していますが、お店の方はしばらくお休みしようと思っています。
RHYTHMOSは小さいお店ですし、接客を大事にしています。お客様と距離をとってまで営業することよりも、安全面やモラルを優先しての判断です。

お店はお休みですが、ご自宅での過ごし方の一つとして、革製品のメンテナンス方法などを発信できたらと思っています。RHYTHMOSとして、一人の革職人として何ができるのか正解はわからないし、そんな情報でウィルスに勝てない事は百も承知ですが、ネガティブな情報だけでは心が病んでしまいます。

今は大人しく、健康を第一にお家で大切な家族と過ごしてください。

臨時休業
4月25日(土)~5月6日(水)

※ご注文品の受け取りやリペアのご相談など、必要な場合には対応いたします。
※ご来店の際は事前にご連絡の上、マスク着用でお越しください。

wish

10周年を迎えた今年、次の10年は「精神的にも肉体的にも社会的にも健康である事」を軸に据えると書いたのが2月の頭。その時にはまさか、こんな状況になるとは思っても見ませんでした。

コロナウィルスの猛威で世界中が苦境に立たされ、色んな事が次から次へと自粛になってしまい、仕事も日常生活も、何をするにも重苦しい雰囲気。先行きが不安だらけの中、自分達に今出来ることは何だろう?と考えを廻らす日々です。

僕らのお店でも、この春に10周年の感謝祭を企画していましたが、ひとまずは開催を6月ごろに見送ろうと思います。2ヶ月先にどういう状況になっているのかは分かりませんが、皆さんの健康と1日でも早い収束を願うばかりです。

友人や知人の仕事にも影響が出始めています。自分たちにその影響がやって来るのも時間の問題でしょう。自分たちだけでなく、身の回りの家族や友人、世界中の人たちの生活も守るために、皆が助け合う必要があると思います。願わくば、これを機に何が大切なのかに気づき、事態が収束したその先の世界に良い変化が起こる事を祈っています。

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