RHYTHM→RHYTHMOS

先日もお知らせしました通り、RHYTHMは9月1日をもって新しいブランドへと生まれ変わります。


生まれ変わると言っても、商品や基本的な活動内容に変わりはなく、下積み8年~ファクトリーブランドとしての5年半を経て、第3ステージへ進む新たなスタートを切る一つの節目と考えています。

新ブランド名は「RHYTHMOS/リュトモス」となります。

リュトモスとは、リズムの語源となった古代ギリシャ語で、物の姿や形を示すのに一般的に用いられたそうです。これまでのコンセプト通り「命=RHYTHM」という意味合いに加え、素材から新たな「形」へ生まれ変わるという意味も含み、かつ原点回帰という意味でも、この「RHYTHMOS」という名前を選びました。

リュトモスのスタートとして、全国6ヶ所での受注会ツアーを予定しております!詳細はまた後日お知らせいたします。


RHYTHMOS 
Hand Carfted Leathers
全ての生命はその生を全うし、自然へ還りまた新たな命が生まれます。
「革」もまた命ある動物から素材へ、素材から品物へと、形を変えながら、命の温もりを繋いで行きます。形だけでなくその表情をも変化させ、月日を重ね持つ人に寄り添い、唯一無二の存在へと変化してゆく。
そんな、温もりあるブランドでありたいと願い、デザイン・使い心地・デティールにこだわり、一針一針手縫いで仕上げています。それは、命を分けてくれた動物たちへの感謝のしるしであり、
RHYTHMOSのプライドでもあります。

chapter.5〈革と雨〉

今年の梅雨はとても梅雨らしく、6月に入ってからの鹿児島は雨、雨、雨…の毎日です。

雨と言えば、先日ミラノへ旅行した時の事。滞在中は、良い天気に恵まれ夏のような暑さでしたが、1日だけ予報では「夕方から雷雨」という日がありました。あいにく傘を持って行っていなかったので、どこかで調達しなければと気に留めて見ているのですが、TABACCIと呼ばれるコンビニ的なお店にも、お土産物屋にも大きなスーパーにも、どこにも見当たりません。結局、傘を見つける事は出来なかったのですが、ホテルに戻るためにトラムの駅に向かう途中で少し降られただけで、幸いびしょ濡れになることは免れました。

そして、そんな車内からの景色で疑問が解決しました。街中に、観光客にいろんなモノを売っているお兄さんたちが沢山いるのですが、その人達の売り物が、一瞬にして全て雨具に変わっていたのです・・・!よくよく聞いてみると、ヨーロッパの方は雨に濡れることを僕たちのように嫌がらないようで、雨だから濡れるのは当たり前でしょう?と言わんばかりに、傘をささずに歩く人を沢山見かけました。

でも、そんなヨーロッパの方達も、革製品が雨に濡れるのは嫌がるのではないでしょうか?革製品は雨に打たれると、表面にぽつぽつとシミができたり、色移りの原因になってしまいます。「革は濡れてはいけない」と思っている方は多いと思いますが、濡れないようにすることはもちろんですが、濡れた時にどうするか?の方が大事です。以前にメンテナンスについて書いたので重複する部分もありますが、今回は梅雨時期ということもあり、濡れた時の対処に限定してご案内します。

まず、濡れたらすぐにふき取ること。部分的にしか濡れていない場合は、そのままだと境目にシミが残りやすいので、濡らした柔らかいタオル等で、そのシミを馴染ませるように全体的に拭いていきます。この時にタオルの水分で革が濡れてしまってもOK。むしろその方が部分的なシミは目立たなくなります。

そしてしっかりと湿気を取る事が大事です。この時に、ドライヤー等を使って強制的に乾かすのはNG。水分が蒸発する時に革の油分まで持って行くので、逆に乾燥を招いてしまいます。乾燥すると、ヒビ割れの原因になりますし、さらに水分を吸収し易くなるため、次に濡れた時に、シミがつきやすくなります。新聞紙等を詰め、ある程度水分を吸収したら詰め物を取り替え、時間をかけて陰干しします。この時、除湿器の使用はOKです。

完全に湿気が取れたら、次は油分の補給をします。革にとって一番理想的なのは「乾燥し過ぎず適度な油分で潤っている」状態です。革用のクリームやオイルがあれば良いですが、モノによっては扱いが難しいので、手軽なお手入れとして私がおすすめしているのは、馬油(バーユ)やヴァセリンなどの無添加・無香料・無着色のスキンケア用品。ビックリされる方もいらっしゃいますが、革はもともと動物の皮膚だったわけですから、人間の肌に良いモノは同じく革にも良いのです。ただし、無添加というところがポイントです。ハンドクリームをもみ込む要領で、手で直接革製品に塗り込んで行きます。付け過ぎは逆効果なので、少量を薄くしっかりと伸ばすように。まんべんなくもみ込んだら、表面にのこった余分な油を乾いた柔らかい布で拭き取り、1日置いてもう一度カラ拭きします。

防水スプレーを使用する場合は、この時に仕上げとして使って下さい。ただ、皆さんご存知のように、油は水分を弾きます。しっかりと油分で潤っていれば、多少濡れてもすぐに拭き取ればシミにはなりません。あとはこの繰り返し。生き物でもモノでも、きちんと手をかけて可愛がってあげれば、しっかりと育ってくれます。日常的なお手入れが大事ということです。

僕自身も雨に濡れるのは嫌いですが、雨の日に部屋で静かに過ごすのは好きです。ここ最近は、雨音を聞きながら黙々と製作に集中するのが心地よいです。

デザイナー・職人 飯伏正一郎

暮らしの手帖

岡本仁さん「今日の買い物」の中でお財布をご紹介頂いております。今回は鹿児島編なので、友人のお店等も掲載されています。岡本さんの文章でご紹介いただくと、いつもとは違った見え方感じ方が出来て新鮮です。
是非お手に取ってご覧ください。

暮らしの手帖

https://www.kurashi-no-techo.co.jp/default/c4_76.html

chapter.4〈原点〉

僕の母方の祖父は、元・大工。残念ながら僕が二十歳の時に他界してしまいましたが、幼少時代の僕はかなりのおじいちゃん子でした。僕が物心ついた時には既に現役を引退していましたが、家の横にあった小さな作業場でいつも何かを作っていました。大工仕事に限らず、色んなモノを作ったり直したり。

近くのバス停にベンチが無いからと木製の椅子を作ったり、近所の人に頼まれて家電製品や穴のあいた鍋を修理したり、僕らのために庭にブランコを作ってくれたり。当時の家も祖父が自分で建てたものだったそう。

幼い僕は、ほこりっぽい匂いのする作業小屋で祖父の横に座り、昔話を聞きながら眺める作業が大好きでした。その手の動きや道具の一つ一つ、素材がカタチに変わる、元通りに蘇る、その一連の作業は、魔法のように感じました。

ちなみに母も手作りが得意な人で、僕と姉の洋服、お誕生日のケーキ、パンやお菓子、なんでも作って与えてくれました。そんな環境で育ったからか、僕は幼い頃から「つくる」事が好きでした。「つくる」以外にも、モノの「つくり」に興味があって、おもちゃや目覚し時計等を分解しては組み立てる・・・という遊びが好きでした。それは、今も変わりませんが「どうなっているのか?」が気になって仕方なかったんです。

そんな幼少時代を過ごしたおかげで、モノを見れば大体の作りが解るようになり、祖父の作業を見ていたおかげで、道具を見ればその使い方も解るようになった気がします。

そういう訳で、僕の革製品作りは完全なる独学・・・というよりは「自己流」と言った方がしっくりきます。既製品を見て「つくり」を学び、作り方は道具から学ぶというスタイルでここまでやってきました。教科書にあるような「作り方」では無く、トライ&エラーで技術を身につけてきました。お手本にしたブランドや、尊敬している職人・デザイナーは居ますが、どこかできちんと学んだ訳では無いし師匠もいません。デザインの勉強や修行を重ねた作り手の仲間達がいる中で、その事がコンプレックスだった時期もありますが、今は誇りにさえ思っています。

数年前に、母がふと思い出したように言っていました。「じいちゃんも革の鞄を作っていた事がある」と。
偶然にも僕が革製品を作り始めたのは、祖父が亡くなったその年でした。僕のモノ作りの原点は、間違いなく祖父にあります。
祖父がよく口にしていた言葉。”為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり”自分の目標を見失わずに努力すること。その事を教えてくれたのも祖父でした。

デザイナー・職人 飯伏正一郎

chapter.3〈It is masterpiece of RHYTHMOS〉

[Zip/ジップ]はポーチ型のお財布で、収納力と使いやすさが特徴のリュトモスの代表作です。
 
ぱっと見はシンプルなファスナー付きのポーチなので、見た目ではお財布だと認識されないこともしばしば。手にとって中を見ても、そのサイズ感や独特な構造のため、説明がなければ使い方をイメージ出来ない解りにくい財布でもあります。

自分が使っているものを見せながら説明すると、お札や小銭・カード類はもちろん、通帳やパスポート、スマートフォンや名刺入れ等の厚みのある小物まで収納できること、パーツを極限まで少なくした薄くて軽いシンプルな構造ながら、見た目を裏切る収納力があるということ、その全てが手縫いだということに驚かれ、やっとその魅力を伝えることが出来ます。当たり前ですが実際に使ってもらえれば、上質な素材や丁寧な手仕事、シンプルな構造による使い易さは、瞬時に体感してもらえるはずです。第一印象がどうあれ、それが財布らしい財布であることを、きっと理解してもらえると思います。実際に、ご愛用者の皆さまからは「他の財布を使う気にならない」「友達や家族にも使って欲しい」等、嬉しいお声を頂いています。

そんな[Zip]の原型ができたのは2008年。以前はオーダーメイド製作が中心だったともあり、数多くのお財布を作ってきましたが、何かもう一つ、この形がベストだと思えるものがありませんでした。「お財布というものの型はある程度決まっているけれど、その枠をはみ出た新しいものがきっと出来るはず」そう感じていました。その自分の中の「型」を打ち破ったのが[Zip]だったのですが、思いとは裏腹に当初はまったくといって良いほど反応がありませんでした。それでも自分の中では「これ以上の財布はない」という根拠のない自信があったのと、一部の方に気に入ってもらえたこともあり「この財布をリュトモスの代表作に」と決め地道に作り続けてきました。

結果、2010年9月に出展した業者向け展示会(FOR STOCKISTS EXHIBITION)をきっかけに、老若男女を問わずたくさんの方にご好評を頂くアイテムとなりました。ちなみに、その時(2010年9月)の受注分から入れているシリアルナンバーは、先日「No.1,550」を越えました(2014年12月)。工場生産のモノには及びませんが、生産量の限られた手仕事で送り出す数としては、自分でも想像が追いつかない数で、正直びっくりしています。

Zipは、リュトモスのコンセプトや僕自身の想い、フィロソフィーが全てつまっている、まさに代表作なのです。

デザイナー・職人 飯伏正一郎

※instagramに「#my_zip」というタグを作っています。皆さんのZipの写真がUPされていますので、是非ご覧なって下さい。
Zipをご愛用頂いている方で、instagramのアカウントをお持ちでしたら、是非「#my_zip」のタグ付きでinstagramにUPして頂けると嬉しいです。