No.2:メンテナンス

2014.07.26

 RHYTHMOSのアイテムは、革本来の美しさや自然な風合いを最大限に生かす為、無駄な装飾を削ぎ落としたシンプルなデザインです。シンプルであればある程、縫製や使い勝手、そして素材のクオリティに目が行きます。植物のタンニンを使用し丁寧になめされた革は、使い込む程に優しい艶が増し、深みのある色に育っていく「エイジング」と呼ばれる経年変化もまた魅力の一つです。

 よく、お手入れの方法について聞かれますが、僕はいつも「使う事が最大のお手入れです」と答えています。使う人と共に過ごしシミや傷がついたとしても、それはその人だけの味。普通に使っているだけで次第に手に馴染み、手の油分や衣類との摩擦によりだんだん色と艶が増してシミやキズは目立たなくなります。実際、僕が使っている財布もお手入れらしいことは特に何もしていません。

写真

※写真は同じ革の色の新品(上)と約二年使用している私物(下)。

 革は、使用条件・気温や湿度によってその質を微妙に変化させます。人の皮膚と同じように、乾燥する時期にはややかさつく感じになり、梅雨時や夏場の湿度の高い時には、表面に油分がにじみやすくなります。使うことで気づく革の微妙な変化もあります。

 ただ、自然の力に頼るばかりでは、その変化も「味」ではなく「くたびれ」になってしまう事があります。特に気を付けて欲しいのは革のひび割れ。RHYTHMOSの製品は、基本的にお直しをして永く使って頂くことが可能ですが、使わない期間が長かったり、適度な油分を保てずに革の乾燥が進んで革にひびが入ると、縫い直しの修理も出来なくなってしまいます。革製品と永く付き合って行くには、傷やシミよりも乾燥が大敵なのです。決まったお手入れ方法はありませんが、RHYTHMOSのアイテムとより永く過ごしてもらうために、気をつけて欲しい事はひとつ。

「湿気を取り、油分で潤す」

 乾燥していると感じたら、表面の汚れを固く絞った布でふき取り、柔らかい端切れ(使い古しのTシャツなど)に革用のオイルを2、3滴つけ、全体にまんべんなく馴染ませます。塗り終わったら、余分なオイルを軽く拭って自然乾燥させます。塗ってすぐは、ムラになることがありますが、馴染んでくると均一になります。ただし、過度なメンテナンスは逆効果。油分の与え過ぎは、かえって革の風合いやコシを損ないます。

 濡れてしまった場合も、乾いた柔らかい布で水分を十分にふき取り、風通しの良い場所に陰干しした後、軽く油分を補給して下さい。十分に油分の保たれた状態だと、汚れもつきにくく、水分もはじきます。

 長期間使用せずに保管する場合にも同様のお手入れをした後、布の袋などに入れて風通しの良い場所に保管して下さい。湿気を帯びたまま密封されると、カビが発生しやすくなりますので、注意が必要です。

 RHYTHMOSでは革のメンテナンス用品も取り扱っていますし、お手入れの相談にも乗っています。良い状態を保ち永く愛用していただくためにも、少しだけ革の状態を気にしてあげて下さい。そうして可愛がってあげることで、革本来の魅力を増し、深みのある自分だけの味わいになってきます。

 出来上がったばかりの新品には無い、使う人と毎日一緒に過ごすことで生まれる味わいが重なることで、どんどん素敵に育っていく。そんな唯一無二のあなただけのアイテムになれたら、僕はとても幸せです。